第30回北海道乳腺超音波研究会終了報告


 2025年3月15日16時からZoomにて第30回北海道乳腺超音波研究会が行われました。参加人数は35人で、「乳がん術後経過観察とその検診に関するアンケート」と題して、第1部経過観察を行う医療機関の実情について、第2部検診専門機関の実情ついて、それぞれ事前アンケート基にして当日参加していただいた皆様への質問を交えながら進行して参りました。
まず、第1部では、術後の検査法についてのどの部位まで見ているのかをお聞きし、その場合検索する方法に一定の決まりがない事への不安や、実際に転移を指摘した経験がなく、知識不足により不安に思っている方が参加者の約半数ほどいることが分かりました。そこで少しでも不安を払拭する手助けとして頂くため、様々な部位での転移画像を動画や静止画、リンパ節の存在部位(LevelT、LevelU、LevelV、内胸リンパ節、鎖骨上リンパ節)を認識するための目印となる臓器(小胸筋など)を具体的なイラストや症例を用いて解説しました。加えて実際の症例を検査する上で必要な知識として、前胸部再発や、リンパ節転移の症例を提示し、それぞれ事前に知りえる患者背景や画像情報の見かたとその活用法を含めてレクチャーしていきました。
第2部では、検診専門施設の現状についての事前アンケートにて、乳がん術後患者の乳がん検診を行っていますか?という問いに関しては約半数の方が行っているとの返答がありました。しかし、困っていることとして、「術創部が正常なのか再発はしていないのか判断が難しいことがある。また普段リンパ節まで見ないので、知識と技術に乏しく、よく分からない。」という回答も見られたため、こちらに関しては、以前当会で一度レクチャーした事のある、術創の成り立ちについてのイラストと実際の症例を用いて解説し、どのように観察すべきかを動画を用いて紹介しました。また乳房温存術や良性腫瘍の術後の方の検診では、術創が出来た経過が分からないと、判断に苦慮することがあり、可能な限り患者背景を知る事の重要性についても説明を加えました。その後、参加者皆さんに対して「今後術後の検診を行っていけると思いますか?」と質問し、約半数以上の方が思うという回答をしてくださいました。現場では実際の症例を経験することが難しい環境の方もいらっしゃる中、この回答は心強いものとなりました。今回も皆様、最後までお聞きくださりありがとうございました。検討結果は、何かしらの形で報告させていただく予定です。また、今後やってほしい内容や質問はいつでも受け付けております。是非当会へご連絡ください。それでは、次回また研究会をお楽しみにしていてください。

第30回勉強会アンケート結果


10件の解答

満足度
グラフ
感想及び質問等(やってほしいことも混ざっているので、全部記載します)

  1. 他施設の状況を知ることができて、参考になりました。 施設によって様々だということもわかりました。 健康診断を専門に行っている施設では、病変がどこに存在しどのような病理所見だったかを知ることは難しいですが、症例を提示していただいたものは鑑別できそうだなと思いました。 復習にもなって良かったです。 術後の方を健康診断専門施設でフォローする傾向が散見されるので、リンパ節の観察もできるように施設内での周知と教育が必要だと感じました。(会社の健康診断で超音波を受診しなくてはいけないため、無駄な経費や負担を減らすために結果を病院に持ってくるよう言われたことがあったと検査者から聞きました。) 今回意識をアップデータできて良かったです。 ありがとうございます。
  2. 通常、乳腺エコーを実施はしていないのですが、今回の 乳がん術後患者に対する経過観察など、題材に惹かれ、参加させてもらいました。 心電図や心エコー検査をしている中で、意外と多くの患者さんが乳がん術後の方がいて、どのくらい経過観察などしているか、乳腺エコーではどのようにみているのか が知りたく、わかりやすく、大変勉強になりました。 ありがとうございました。 ...
  3. 健診機関なのに術後の方がこられることもあり、なぜ?どんな癌だったの?とハラハラ、ドキドキです。術痕の肉芽のことや本物の転移のリンバ節などわかってよかったです。
  4. 術後の受診者は近年増加しております。 健診ではその情報が全くないため、本人に問診を行ってから検査を行うようにしております。 病気に詳しい方ならいいのですが,記憶が曖昧な方も多く、また初対面で話したがらない方もいて情報収集に苦慮します。ガイドライン等でその辺りも整理してくださるとありがたいです。 また、術後の方の健診は当院ではリンパ節の腫大の有無(腋窩、傍胸骨、鎖骨周囲)も検査するため2倍の検査時間がかかってしまいます。 ガイドライン等で術後の健診はここを見る!と決めていただけると助かります。 健診では術後再発の症例をほとんど見たことがないので今回のような勉強会がまた開催されると勉強になります。このような勉強会の機会を設けていただき,ありがとうございました。 ...
  5. 私は健診施設で超音波をしていますが、今まではなんとなくLNの検索をしていたと思います。今回の勉強会でスキャンするポイントが理解できたので、明日からの検査に役立てようと思いました。白井先生がとてもわかりやすく説明してくださるので、この勉強会はとても有難いです。
  6. リンパ節の手書きのシェーマが素晴らしかったです。 特に深さ方向の位置関係もあり、とても理解しやすかったと思います。 胸骨傍リンパ節はしっかりした腫瘤状というより上下あるいは左右の厚みと比べると厚くなっていることから見つけやすいと思っています。再発だけでなく最初の検査ですでに転移がないかを見るときにも比較することでわかりやすいと思います。
  7. リンパ節の解剖とECHO画像を両方合わせて説明いただき、今後の検査の参考になりました図解だけではわかりにくかったことを画像で胸筋との深さの関係や実際の転移の画像を詳しく教えていただけたのが良かったです 術後の経過観察について  当院の医師の話ではOPE後に使用する薬の使用期間によって経過観察の期間を決めているようでした  
    まだどのような薬があってどのくらいの期間使用するかまで詳しくは聞いてないのですが、機会を作って知りたいです  
    また、年配の方では定期的に通院するのが難しいようなら緩い設定にしているようでした ありがとうございました
  8. 大変勉強になりました。ありがとうございました。数年ぶりの術後乳腺エコーに四苦八苦していたので、今回のテーマは私にとって驚くほどタイムリーなものでありました。(以前よりも再建術の患者さんが多いような気がします)
    @リンパ節転移に焦点をあてて、症例を交えた講義がとても勉強になりました。症例2(だったかと思いますが)、レベル2の小さなリンパ節転移のレポートの書き方がとても気になりました。積極的に転移が疑われると医師に報告したのか、小さいけど低エコーが気になったのか、など…
    A術創、肉芽と再発の比較が大変勉強になりました。超音波所見が記載され、画像を言語化して比較されていたので、より理解しやすかったです。再発を疑う場合のポイントが絞られて提示されていたので、術後フォローに活かしていきます。
    B以前に本州の乳腺学習会に参加した時に、講師の方が『全摘された胸も健側と同じようにすべて観察しています』と仰っていました。私自身はそれまで全摘部位の観察はしておりませんでしたので、その後試みたのですが、私の態度や方法が悪かったのか患者さんから嫌そうな顔をされてしまいました…。現在は観察していません。
  9. 毎回テーマが素晴らしく、大変勉強になります。いつも本当にありがとうございます。

今後の研究会で取り上げてほしいテーマがありましたらご記入ください1 件の回答
  • 所見に迷う時間を減らしたいです
 


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