第29回北海道乳腺超音波研究会終了報告


 2024年3月29日午後7時より,オンラインにて第29回北海道乳腺超音波研究会を開催いたしました.今回のテーマは,「超音波検査(US)におけるサブタイプ分類について考える.」でした.近年,様々な会で画像診断によるサブタイプ分類を行い,その検討結果を耳にすることが多くなってきました.しかし,我々がその分類をどういった目的で,どのように行っているかを理解する機会が多くはなく,そもそもサブタイプ分類とは?またその臨床における役割やUSがこの分類を行う意義など,これらを一度整理する必要があると感じ,勉強会を企画しました.今回は比較的難しいテーマにも関わらず参加希望される方が多く,59名にご参加いただきました.また今回は希望者全員参加されたという事より,その関心の高いテーマであった思われました.
 まず,そもそもサブタイプ分類とは?の解説では,エストロゲンレセプター(ER),プロゲステロンレセプター(PgR),HER2蛋白,Ki67といった4つの免疫組織化学染色を用いて分類するものであり,その染色態度によって,ルミナールA,ルミナールB,HER2,トリプルネガティブ(TN)タイプの4つに分類されます.ただ,本来遺伝子の異常を分類すべきものなのですが,日常臨床において簡便に使用する方法としてこの染色を用いて,分類している事より,完全に一致しているわけではありませんが,その役割は,非常に重要で,主に術前,術後に行われる薬物治療の薬剤選択に用いられることを解説しました.
このように分類された乳癌においてUSにおいても画像的な特徴があるのかを検討した結果,その特徴が様々な学会などで報告されるようになってきました.そこで今回はその画像的特徴を当研究会でも検討すべく,病理組織像と対比したものを,症例提示の形式で報告してまいりました.これらの症例を通して,様々な画像的特徴を報告してきましたが,今回の症例より,サブタイプ分類の特徴的所見を示す腫瘤はあるものの異なるものも少なくなく,USにとって重要な事として,まずは,良悪の鑑別を正しく行う事,その上で今回の分類をできるものは取り入れることであり,サブタイプ分類を主体として考えるのは難しい事を,症例を用いて提案しました.特に反響が多かった症例としては,圧排性増殖を示す腫瘤の周囲の所見で,一見するとハローのように見える高輝度なエコー像は,癌細胞が周囲の脂肪織に浸潤増殖しているのではなく,近傍に存在する小さい脂肪組織により,高輝度な反射が起こっているという事でした.
超音波診断の真の目的は,乳癌によって死亡する人を減らすことであり,そのためには,より小さな乳癌に対しても確実に診断へと導くこと事であるというお話をさせていただきました.多くの方のご参加,誠にありがとうございました.
また,去年もお伝えしましたが,当会のサーバーが変更されたことに伴い,メーリングリストアドレス,ホームページのアドレスが変更されております.以前のアドレスではホームページの閲覧ができませんので,再度下記にアドレスを掲載させていただきます.

ホームページアドレス:http://www.nyusen.satsuringi.org

第29回勉強会アンケート集約


解答23件 59名参加で回答率39%

グラフ2

感動および質問 13の回答

  1. 講演ありがとうございました。 画像検査に求められるものは、何なのか? 基本は変わらないと思うのですが、情報が多くなりすぎて混乱します。
  2. 健診ではあまり考えていない分野でしたが、とてもわかりやすく説明していただいてありがとうございました。
  3. 多彩なエコー画像とともにわかりやすい解説があり、とても勉強になりました。 硬性型というだけでも多彩なエコー画像があり、正直難しいなと感じてしまいました。勉強不足を痛感しました。
  4. わかりやすく丁寧な解説で、とても勉強になりました。乳癌取り扱い規約の第19版が作成中とのことで、また変更点がでてくるのか心配しております。
  5. 症例12のhaloに関してがとても勉強になりました!
  6. 典型的なものもあれば、非典型的なものもいろいろあるのに、エコー画像からそこまで推測することの意義がわかりません。結局は染色してみなければわからないので、「悪性が疑われるから組織診を」と、進めるだけでは駄目なのでしょうか。
  7. サブタイプは、本を読んでも理解しにくい分野なので、今回、沢山の症例をもとに典型像と非典型像で解説していただき、とっても勉強になりました。 質問です。 症例12の腫瘤周囲の高エコーを見た時、脂肪織浸潤の高エコーかと思いました。腫瘤周囲の脂肪組織が小さくなり高エコーに見えるのと、脂肪織浸潤の高エコーと、鑑別ポイントを教えていただきたいです。
  8. 超音波画像からサブタイプを推定するのは、ちょっと難しいと感じます。癌か良性かや、組織型の推定の方が考えやすい印象です。健診の現場ではなかなか見る機会が少ない組織像も提示し、解説して頂けるので、とても勉強になりました。また次の機会も参加したいと思います。北海道乳腺超音波研究会のホームページが昨年から見れなくなったのは、私だけでしょうか?
  9. 分かりやすい内容で良かったです。次回も楽しみにしています。
  10. ハローじゃない小さな脂肪による反射という説明で、疑問が解決しました。
  11. 沢山の症例をエコー画像と病理の対比、またエコーでなぜそのように見える(写るのか)についても詳細に教えて頂き、ありがとうございました。 私は病理・細胞診を担当しているため、乳腺エコーは独学中ですが、今回のテーマについては実際に標本作製や鏡検をしながら日々接していて、それがエコーから見ると(考えると)このように見えているだ、所見をこう捉えているんだ、ということが分かり、とても新鮮で勉強になりました。 細胞所見からもある程度の特徴が分かればバイオロジーを推定できるかもしれませんが、先生が話されていたようにまずは良悪性の鑑別が重要であり、詳細に所見を拾い鑑別していくことが大切だなと改めて思いました。 次回の勉強会も楽しみにしております。 ありがとうございました。
  12. サブタイプと画像の特徴を結び付けて分かり易く解説いただき、今後の検査の参考になります。ただ、非典型例もあったので後半少し悩み深かったです。自分の経験する症例を丁寧に振り返り、今日学んだ事と照らし合わせながら学習を深めたいと思います。 ありがとうございました。
  13. 典型例と非典型例を示していただきありがとうございます。後半はハローについて少し混乱しましたが、ハローではない方の説明を聞いて納得しました。いつも勉強になります。
  14. なかなかサブタイプを画像で分けるのは、典型像以外は難しいなと思いました。とりあえず、形態をよく観察し良悪の診断をしっかりしたいと思います。乳がん治療中でも、企業検診を受ける方が多いので勉強になりました。
  15. サブタイプの成り立ちを丁寧に説明して頂き勉強になりました。


今後取り上げてほしいテ−マについて
  • 症例検討会 報告書に必要な記載事項の検討
  • 乳腺症について
  • 病理画像の見方
  • (質問の様ですが)最近この勉強会の存在をしりました。術後のフォローはどういうところをみるのかとか、聞きたかったです。もう一度…というのは無理でしょうからせめてその時のオンデマンドとか、みれないでしょうか。
  • 今回のような内容は、定期的に取り上げていただきたいです。何度も解説を聴いて、少しずつでも自分の知識にしていきたいです。
  • 非腫瘤性病変の見つけ方(乳腺症との鑑別が難しい)
  • 乳腺症とDCIS、硬化性腺症内進展を伴うDCISの鑑別と、細胞診やCNBを採取される場合に病変のどの辺りを狙っているのか。
  • 画像と病理の対比解説が良いです。plus α で、再建や予防的切除などの現状もワンポイントで教えてほしいです。
  • 良性悪性鑑別困難症例の見分け方とか
  • 本日のように病理との対比(第二弾)
  • 低エコー域の症例について、良悪関係なくたくさん画像を見たいです。


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